i-podからのプレゼント

今日は1日嫌なことしか起こらない日で、天気が良いだけでそれ以外はぼくにとってすべてが悪い日だった。最後には天気の良さすらマイナスに感じられるくらいに、全てのことにうんざりした。
帰り道。地下鉄2駅分を歩いて帰った。とぼとぼと。21時過ぎの夜の道はもうすっかり冬の気配でさらに気分は落ちていく。いつもよりさらに猫背気味に歩く。耳にはイヤホン。その先はi-pod nanoに繋がっている。
それは、幹線道路を渡るために信号待ちをしている時だった。
ぼくのそんな沈んだ心をシャッフルで曲を流していたi-pod nanoが察してくれたのだろうか、流れてきた曲はFishmansの『ずっと前』だった。素敵なイントロが疲れた心に染みた。「トトン トトン トトン あー元気ですか?」おかげで少し元気になりました。
次いで流れてきたのがThe Miceteethの『霧の中』。今日は雨は降っていないけれど、晴れていたって心に響く名曲だ。歌が全て終わったあとに鳴り響くホーンのリフの壮言なまでの美しさといったら。
その次にu-lalaの『月はきいろ』の印象的なイントロが耳に届いた。なんだこの完璧な流れは。涙がこぼれそうになった。最後の歌詞「元気ですか?」はい。もう大丈夫。元気です。
そしてその後にi-pod nanoが流してくれた曲はFishmansの『感謝(驚)』。
1100曲以上入っている曲の中からシャッフルでこの4曲を続けるなんて、なんて素敵なプレゼントだろうか。i-pod nanoに感謝(驚)だ。
全てが悪かった1日が最後の最後たった20分ちょっとで全てひっくり返った。ぼくが単純なだけかもしれないけれど、音楽はたまにこんなマジックを呼ぶ。
電車の窓から流れて見える今夜の世界は輝いて見えた。