うつみようこ&YOKOLOCO BAND @ アポロシアター

前にアルトンさん(id:alton)が

ハロルド作石BECK』のコユキって、いったいどんな歌声なんだろう。一瞬にして観客を驚愕させる、天才ボーカリスト*1

と書かれていて、ぼくもガーネット・シルクだという説には賛成で、ライブを観ることなくこの世を去ってしまった事は悔しくて仕方ない。
でもぼくは、歌声が人の心をとらえてしまった、そんな奇跡的なシーンを目撃した事がある。実際にこの目で見たんだ。そんなシーンを二度。それはどちらもフジロックでの出来事だ(やっぱりあそこには見えない力に満ち溢れてるのかもしれない)。
1度目はSoul Flower Unionのライブでのこと。ゲストで参加していたうつみようこさんがヴォーカルをとって歌い出した瞬間、ステージ前に並んで、それまではただひたすらに任務を遂行していた屈強な黒人セキュリティーの1人が後ろを振り返ってうつみさんの歌声に聞き入っていたのだ。そのセキュリティーがうつみさんのことを知っていたとは考えにくい。日本語もきっと分からないだろう。魂花の演奏あってと言う事は分かっているけれど、うつみさんがヴォーカルをとった瞬間に振り返ったんだからあれは間違いなくうつみさんの歌の力だ。その後どのバンドのライブでも後ろを振り返ったセキュリティーなんていなかった。
もう1度はEGO-WRAPPIN’のライブでのこと。中納良恵がアカペラでヴォーカルをとっている時に、黒人のセキュリティーがリズムをとっていた。ノリノリで。無意識だったんだろう、彼は自分でそれに気付いて、その後いっそう厳しい顔で任務についていた。
言葉がわからなくても初めて聴く曲でも、歌声は人の心を捉えることができるのだ。ぼくはそれをその時初めてちゃんと理解した。
うつみさんのヴォーカルにはそんな奇跡を起こす力がある。
うつみようこはとても素敵だ。久しぶりに聴いたうつみさんの力強いけれど透明感のある歌声。それはまさに奇跡だ。
TMGEのドラマー、キューちゃんのドラムも素敵だ。乾いた音なのにあんなにセクシーに聞こえるなんて。それは汗をかきすぎて白いシャツから乳首がスケスケになっていてセクシーだとかの話ではなくて。音がセクシーだ。
魂花のキーボードの奥野も素敵だ。アニエスbの虫っぽいサングラスは、そりゃよく似合うだろうなと思った。
フラカンのベーシスト、グレート前川も素敵だ。一見(変態的な意味で)ヤバそうな風貌とは裏腹にちゃんとしたベースを弾く。でも動きはやっぱり変態的で素敵だ。
フラカンのギタリスト、竹安も素敵だ。一見普通の人っぽい風貌とは裏腹に変態的なフレーズを弾く。普通っぽいと思ったルックスも顔を隠してしまう前髪やその奥のさらにメガネの奥の目や動きも変態ぽくて素敵だ。
本当に楽しかった。素敵な夜だった。